ある旅人が、旅の途中で道を見失い、
不思議な国に迷い込んでしまいました。
その国は、一つ目人間の国だったのです。
その国の住人は、誰もが、目が一つしかない人々であり、
旅人のように目が二つある人間は、
一人もいなかったのです。
その国に迷い込んだ当初、
旅人は、変わった風貌の住人を見て驚き、
そして、しばらくは、
彼らを不思議に思って眺めていました。
しかし、その国で過ごすうちに、
旅人は、だんだん孤独になってきました。
自分だけが二つの目を持つことが
異常なことのように思われてきたのです。
そして、その孤独のあまり、
ついに、その旅人は、
自ら、片方の目をつぶし、一つ目になったのです。
この旅人の悲劇は、決して、
遠い彼方の国の物語ではありません。
なぜなら、
我々も、しばしば、
この旅人のように、
自ら、片方の目をつぶそうと考えてしまうからです。
自分自身であることの孤独。
そのことに、耐えられず、
自分自身であることを
やめようと考えてしまうのです。
田坂広志さんの小説にあった寓話を読んで、思い当たる事が走馬灯の様に出て来ました。
小中学校の時に、頭が悪かったり、体力が弱かったり、音痴だったり、見かけが悪かったりした人を差別した事。
特殊学級に通っていた一つ上の従兄弟を差別した事。
表向きは庇っていたけど、心の奥底では差別していた自分がいた。
会社に入り、出来る人と出来ない人を差別していた自分がいた。
大多数の人と同じで有りたかった。
新型コロナ発生時は、マスクが必須で、していない人をおかしい人だと思った。
私もこの旅人と全く一緒の人生を送ってきました。
だからこそこれからは、個性を尊重していきたい。
あるがままを受け入れたい。
個性は貴重なんだ。
娘にも、友にも、利用者さん達、スタッフにも個性を認めて尊重していきたい。
自身も人から何と言われようと、自分のやりたい様に生きていきたい、
そんな風に思いました。
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