スティーブ・ジョブスの禅僧「宿なし弘文」


写真の右手に写っているのは、ご存じアップルの創業者スティーブ・ジョブスです。


左側のお坊さんは?


この人がタイトルの乙川弘文さん、スティーブ・ジョブスのメンターであり、


欧米に禅文化を広めた禅僧です。


Stay Hungry. Stay Foolish.」(ハングリーであれ、愚直であれ)の名言は、


60年代末のカルト雑誌「全地球カタログ」(Whole Earth Catalog)の最終号で、


背表紙を飾っていた言葉というのは、スティーブ・ジョブス ファンなら誰もが知っています。


実は、中国唐代に著された禅の経典『宝鏡三昧(ほうきょうざんまい)』から引いたといわれます。


コツコツと愚直にひとつのことを続ける人がもっとも強い。形あるものは必ず滅びるのだから、


命あるうちに精進し一瞬の生を最大限生きよ」という教えです。


禅僧としての弘文さんの出発は、バリバリのエリート修行僧でした。


新潟県加茂市の名刹「定光寺」に生まれ、13歳で得度し、駒沢大学を卒業後、


京都大学大学院修士課程を修了すると、27歳で曹洞宗の大本山、福井県の永平寺に上山します。


書をよくし、お経を誦むのも天下一品、学識も豊かな弘文さんに、29歳で思いがけない転機が訪れます。


サンフランシスコ近郊に創建された北米初の本格的な禅の修行道場を運営する日本人僧侶として、


弘文さんに白羽の矢が立ったのです。


時は1960年代、アメリカ西海岸はヒッピー・ムーブメント、カウンター(反体制)カルチャーが全盛時、


自国第一、物質文明礼讃、キリスト教一辺倒だった親世代の価値観に異議を唱え、


ティーンエイジャーたちは新たな精神世界の探求に目覚めていました。


ジョブズと弘文。二人がもっとも濃密に接したと思われるのは、1984年弘文が46歳で最初の結婚に失敗し、


翌85年、30歳を迎えたばかりのジョブズが、自らの心血を注いできた会社アップルから、


「驕慢に起因する経営不振」を理由に追放された、ともに失意と挫折のさなかです。


「永平寺で修行したい」と言うスティーブに、弘文は


「ここにないものは永平寺にもない。シリコンバレーにとどまれ」と答え、


「修行を続けながら実業家になるといい。事業と精神世界は矛盾しない」と告げたといいます。


「ジョブズの集中力もシンプルさへの愛情も、禅修行からくるものだ。


彼は、禅を通じて直感を大事にする心を研ぎすまし、不純、不要なものをすべて濾しきる方法を身につけ、


そして、ミニマリズムに基づく美意識を育んだのだ。」ウォルター・アイザックソン


もともと私は、アップル製品の美しいデザインや、UI(直截的な使いやすさ)が大好きで、


気づけば、Mac book/iPad x 3台/iPhone x 3台/Apple Watch x 2台とアップルだらけ。


その製品の思想が禅から来ているというのは、禅が求めるシンプルさを知ってきていたので、


なるほどと合点がいきました。


「文化的背景も性格も行動パターンも彼と正反対だったから、磁石みたいに引きつけられた


というのがひとつ。


もうひとつは、弘文の常人にはない能力、簡単に言うと超能力にスティーブは畏れを抱いたんだと、


私は確信しています。」(最初の妻)


名僧と言われ、欧米の禅を知る人皆んなから愛された弘文さん。


モテモテながら2度の離婚を繰り返した弘文さん。


「日頃は良寛さん、こと女に関しては一休さん」と評された弘文さん。


スティーブファン、アップルファン、禅のファン、必読の書です。










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