一日のはじめに於いて

山村 暮鳥


一日のはじめに於いて


みろ


太陽はいま世界のはてから上るところだ


此の朝霧の街と家家


此の朝あけの鋭い光線


まづ木木の梢のてっぺんからして


新鮮な意識をあたへる


みづみづしい空よ


からすがなき


すすめがなき


ひとびとはかっきりと目ざめ


おきいで


そして言ふ


お早う


お早うと


よろこびと力に満ちてはっきりと


おお此の言葉は生きている!


何という美しいことばであろう


此の言葉の中に人間の純(きよ)さはいまも残ってゐる


此の言葉より人間の一日ははじまる


山村 暮鳥「風は草木にささやいた」より



皆がしっかりと目を開けて相手を見つめながら、思いが伝わる様に


「お早う」と声をかける時、その挨拶は相手の尊厳を高めることになり、


自分自身に対しては健康に生きられることへの感謝と


「今日1日をしっかり生きるぞ」という覚悟の現れとなります。


朝起きられること、


起きて小鳥の声が聞けること、


顔を洗い家族の顔を見れること、


会社や学校などその日行く場所があること、


は決して当たり前のことではありません。


幸運な事の重なりに感謝しましょう。